回避型愛着スタイルは虫歯のようなもの?:性格を新しい物語で捉え直し心を軽くする


一言サマリー

回避型愛着スタイルを虫歯や近視のような生物学的特徴として捉え直すことで、心の負担を軽くする生き方を考察したエッセイです。

要点まとめ

  • 回避型愛着スタイルは、幼少期の養育環境がオキシトシン受容体の数に影響し形成される
  • 虫歯や近視と同様に、遺伝要因と環境要因(養育環境)の両方が関係している
  • 愛着スタイルを性格の問題ではなく「虫歯」や「近視」のような、不便だけれど対処できる身体的な特性として捉え直してみる。
  • 過去を恨んだり自分を責めたりする苦しみを、「自分に合うメガネを探す」ような向き合い方に変えることで、心が軽くなる考え方につながる。

今回は「回避性愛着障害 絆が希薄な人たち」という本を読んで、気づいたことをまとめてみたいと思います。

この本では、「回避型愛着スタイル」と呼ばれる、人と親密になることを避けがちで、ひとりでいることを気楽に感じるタイプについて書かれています。

このスタイルの人は、他人との親密な関係がもたらす責任を避けたり、自分の感情を表に出さない傾向があるそうです。

この本の中で特に興味深かったのは、回避型愛着スタイルになりやすい人は、脳内のオキシトシン受容体が少ないという生物学的な特徴についてでした。

オキシトシンは、絆や愛情を感じるホルモンです。このホルモンに反応する受容体が少ないと、ストレスに敏感になり親密さを深めることが苦手になるというわけです。

また、この受容体の数は幼少期の養育環境に強く影響されることもわかっています。

この生物学的な知見を知ったとき、「もしかして、性格に対する見方を少し変えられるんじゃないかな?」と思いました。

もし回避型愛着スタイルを、「虫歯」や「近視」といったものと同じように捉えることができたら、心がほんの少し軽くなるかもしれない――そんな考えが浮かんだからです。

まずは本で述べられていた回避型愛着スタイルと、生物学的な背景を簡単にまとめたうえで、私自身の考えを整理してみたいと思います。

目次

回避型愛着スタイルについて

回避型愛着スタイルについては本の中でこう書かれています。

回避型愛着スタイル〔中略〕の最大の特徴は、他人との間に親密な関係を求めようとしないという点にある。回避型の人は、自分の心中を明かさず、相手が親しみや好意を示してきても、そっけない反応をしがちである。他人といっしょに過ごすことよりも、基本的にひとりでなにかすることの方が気楽に楽しめる。他人と過ごすことにまったく興味がないわけではないし、その気になればできないことはないが、そこには苦痛と努力を伴うのである。

回避性愛着障害 絆が希薄な人たち P18より

この本によると、回避型愛着スタイルは「他人と親密な関係を求めない」という点が最大の特徴とされています。

相手が好意を示してきても、そっけない対応をしがちで、自分の心情をあまり見せない。

誰かと一緒にいるより、ひとりで何かをしているほうが気楽と感じることが多いタイプです。  

回避型愛着スタイルは、遺伝と環境(特に幼少期の養育環境)の両方から影響を受けるそうです。

本書では、おおまかに遺伝が4分の1、環境が4分の3くらいの割合で影響すると書かれていました。

その中でも1歳半までの養育環境がとても大切だそうです。

その背景にある生物学的メカニズムとして、オキシトシンというホルモンがあげられています。

オキシトシンは、もともと母乳の分泌を促すホルモンとして知られていました。

しかし、近年では「愛情ホルモン」と呼ばれ、絆の形成にも深く関わることがわかっています。

たとえば動物実験でオキシトシンの働きを阻害すると、親が子育てに関心を示さなくなるなど、愛着形成に悪影響を及ぼすことが確認されています。

人の場合は安心感のある養育環境で育つと脳内のオキシトシン受容体が増え、オキシトシンが作用しやすくなります。

一方、虐待やネグレクトを受けた場合はオキシトシン受容体が増えにくく、働きが弱まってしまうのだとか。

こうして絆が育みにくい状態になり、回避型愛着スタイルへとつながりやすくなる、というわけです。

もちろん生まれつき受容体の数が多いなどの遺伝の影響はあります。ただ、それよりも幼少期の環境の方が影響するようです。

養育環境によってオキシトシン受容体の多寡が決まり、それが回避型愛着スタイルにつながる。

それなら回避型愛着スタイルは、虫歯や近視のようなものなのでは?というのが、今回思いついたことです。

もしこういう風に考えられるようになれば、性格で苦しむことが少し減らせるんじゃないかな、と思うんです。

虫歯、近視と回避型愛着スタイルの共通点

子どもの頃の虫歯や近視の発症には、遺伝的要因と環境要因の両方があります。

虫歯のリスクとなる遺伝的要因としては、顎の形状や歯並び、口腔内の免疫などが挙げられます。

環境要因は、子どもに甘いものをよく与えるかという食生活や、親による歯磨きやフッ素のケア、磨き方の指導などが影響します。

近視のリスクの遺伝的要因としては、眼球の大きさが関係します。

眼軸長という角膜の頂点から網膜までの距離、つまり眼球の奥行きが長いと、水晶体でのピント調節にも限界があって近視になってしまいます。

眼軸長の違いによる正視と近視のメカニズムについて

この眼軸長は身長と同じように両親の影響、つまり遺伝的要因が関係します。

さらにスマホやゲーム機など、近い距離で長時間画面を見続ける習慣が加わると、より近視が進むといった指摘もされています。  

このように比べてみると、虫歯、近視、回避型愛着スタイル、そのどれもが遺伝要因と環境要因(養育環境)に影響されるという共通点が見えてきませんか?

この共通点から考えると、もし回避型愛着スタイルも近視や虫歯のようなものと思えるようになったら、世界の見え方が少し変わるんじゃないかなと思うんです。

回避型愛着スタイルの新しい世界の見方

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