小説– pt_archive –
-
あとがき 忌子とHunter✕Hunterの関係
この小説のアイディアのきっかけになったのはHunter✕Hunterのあるシーンだった。 次はどんな小説を書こうかと考えているとき、今回は自分が感動したものから広げていこうという選択をした。 そのときにぱっと浮かんだのがHunter✕Hunterのキメラアン... -
最終話 新しい「人」生
ふたりは駅の改札の前で待っていた。土曜日のせいか午前中でも人通りは多い。しばらくすると懐かしい顔ぶれが見えてきた。 「仲間さん! 楠本さん!」 忌子が手を振りながら改札の向こうにいるふたりに声をかける。こちらに気がつくとふたりの表情が... -
第三十四話 デート
忌子は離れの家に置いてある鏡台を覗きこむ。頬の擦り傷の痕もほとんど目立たない。うっすらと痕が残っているだけだ。一瞬、ファンデーションで隠そうかなとも思うが、気を取り直してそのままにしておく。これから行く場所だったら、この痕は隠さずに行... -
第三十三話 解呪達成
全身が震えるほどの轟音が響き渡り、その音で秀俊は目の前に楠本がいることに気がついた。彼は全身がずぶ濡れで、秀俊の体の上に馬乗りになりながら両手で秀俊の腕を抑えている。しかし彼は空を見上げていた。 「楠本さん……」 声を上げるとはっとした... -
第三十二話 呪いを解く
神楽で呪いを解く。それは伝承の再現となる行動。それを私ができるのだろうか。 「そんなんじゃ龍神様は満足されない」 祭りの際に神楽を舞ったときの清司の言葉が亡霊のようによみがえる。もし神楽で龍神を満足させられなかったら、どうなってしまう... -
第三十一話 私のせい?
「痛い……」 ぎりぎりと巫女装束を締め上げられ思わず言葉が漏れる。すると突然締め上げがゆるくなった。秀俊が手を離し忌子から距離を取り始める。しかしその姿は苦しそうで、自分で自分の体を抱きしめるようにしていた。まるで、そうでもしないとまた忌... -
第三十話 縁を結ぶ
龍奉神社の片隅にある倉庫。ここは神社で昔から残されている古文書や美術品など歴史的に価値がある資料を保管する場所だ。ときおり博物館に貸し出して展示するようなものも残されている。価値のあるものを保存するため、倉庫は暗証番号によって施錠され... -
第二十九話 分断
「キコくん!」 内陣の外を出ると仲間が抱きしめてくる。体の暖かさを感じてまた涙があふれてくる。今の自分にとっては仲間が言ってくれたキコという呼び方が心地良かった。 しばらく仲間は良かったと言いながら抱きしめ続けようやく解放された。忌子... -
第二十八話 決別
「なんて罰当たりな……」 清司が目の前の惨状を見ながら声を震わせていた。たしかにあの静謐とした内陣の空気は失われてしまった。 「忌子。早く儀式を元に戻さないと」 清司の呼びかけに対して、思わず体が動き腰を上げた自分に驚いた。さっき儀式が壊... -
第二十七話 破壊
清司の再度の呼びかけにも秀俊はうつむいたままだった。しかし突然顔を上げると中へと無言で入ってくる。その表情からはなんの感情も忌子は読み取れなかった。 「何をしてる!」 清司が声をかけても無視して、秀俊は儀式のための祭壇へと歩を進める。...